現在、掛布団でもっとも多くの人が使用されているのが、羽毛掛布団なのではないでしょうか。
これはなぜか羽毛に詳しいペットのガチョウ(グス太)と羽毛初心者の主人(樹季)の 壮大な師弟愛(?)の物語・・・・
第1話 なぜ人気?だって羽毛布団ってとーーっても優秀なんです!
軽くて暖かい
羽毛布団に入っている羽毛をダウンボールといいます。
ダウンボールの小羽枝は絡みにくいので固まりにくく、 いつもフンワリと軽やか。
暖かさの秘密はダウンボールにあります。 動物性の特徴としてダウンボールは冬場の寒い時、鳥自身を守るために保温性を高める機能を発揮します。
ダウンに含まれる空気は熱伝導率が低く 暖かい空気と冷たい空気との間に保温の壁を 作る性能を持っており暖かさを閉じ込めてくれます。
さわやかで快適
羽毛は吸湿性、放湿性に優れており、人のカラダから出る汗の 吸収→発散→吸収→発散を繰り返して行っています。
その作業を随時してくれているので、羽毛布団は他のふとんに比べ、ムレにくくサラッとさわやかです。
また長い季節で使えるのも特徴です。
ソフトにフィット
繊維を積層した中わたと異なり、羽毛はフィット性に優れています。
その理由はダウンの独特のカタチにあります。 ダウンは一つ一つが独立しているので体のラインに合わせソフトにフィットしてくれます。
また体にソフトフィットしているので暖かい空気を逃がさず、 外からの冷たい空気の侵入を防ぎます。
だから羽毛布団は心地よい寝心地が得られるのです。
簡単お手入れ
羽毛は放湿性に優れている上に弾性回復率もよく、頻繁に干さなくても大丈夫です。
ですが羽毛ふとんは水鳥の毛を使用しているので、湿気を含むとニオイやすくなります。
定期的に干し、湿気を飛ばすことにより吸湿性や脱臭効果・かさ高が戻ってきます。
<干し方>
- カバーを掛けて干し、たたかないでください。側生地や中のダウンを傷めてしまいます。
- 乾燥した日の午前10時~午後3時に表・裏1時間交代ずつ月に1~2回、日に干しふとん内の湿気を飛ばしてください。日差しがキツイ夏場などは陰干しをおすすめします。
- ふとん乾燥機をご使用いただくこともできます。
羽毛は軽いので日々の取り扱いも楽々です。 家事をされている方には大きなメリットですね。
実はとても経済的
実は羽毛布団はとても経済的なんです。 良い羽毛布団は大変耐久性に優れており、丁寧に使用すれば 長期間使用できます。
良い羽毛布団は、長期間使用していれば側生地が先に傷んできますが、中身の羽毛はまだ使用できるので側生地等を交換する「リフレッシュ」をすることで、さらに使用期間は延長することができます。
第2話 羽毛布団の羽毛って、いったいなんなのさ!?
水鳥「ダックとグース」
羽毛布団の羽毛というのは主に水鳥の羽毛を使用しています。
水鳥の種類は大きく分けてダックとグースの2種類です。羽毛布団によく表記されている種類の表示としては、 ダック、グース、マザーグースがあります。
エントリーNO.1 ダック
ダックとはアヒルのことです。
グースに比べカラダが小さいのでダウンボールも小さい物が多くなります。 そのため一般的にグースと比べると保温力・ダウンパワーが劣るといわれています。
またアヒルは雑食のため、羽毛特有の動物性のニオイもグースより感じやすくなります。
比較的安価な羽毛布団に使用されることが多いです。
エントリーNO.2 グース
グースとはガチョウのことです。
ダックに比べカラダが大きいのでダウンボールも大きいものが多くなります。 そのため保温力・ダウンパワーに優れています。
またグースは草食のため臭いが少ないです。
種類としてシルバーグースとホワイトグースがあります。
エントリーNO.3 マザーグース
飼育期間が通常の鳥達よりも長いお母さん鳥のことを指します。
成熟しきった親鳥なので通常の鳥達よりもさらに大きなダウンボールを多く採取しやすいです。
保温性・耐久性・ダウンパワーに大変優れており、高級な羽毛布団に使われていることが多いです。
一般的にグースよりもマザーグースのほうが良質な羽毛が採取されやすいです。
羽毛の生産地
羽毛の原産地は寒い国が主になります。
特に厳寒の地で寒い時期を乗り越え、たくましく育った鳥の羽毛ほど良質な羽毛を採取できます。
なぜなら羽毛を大きく成熟させ密度がしっかりしたものではないと 水鳥自身の体温を厳しい冬の寒さから守ることはできないからです。
良質な羽毛の原産地として有名なのは北欧や東欧の国が多いです。 特にポーランド、ハンガリー、ロシアなどは有名です。
第3話 船上?線上?戦場?違うよ!洗浄だよ!!
洗浄とは…
洗浄とはその名の通り、採取した羽毛を洗い 「採取された羽毛(原毛)」から「羽毛布団に入る羽毛 (ダウンボール)」に精製するまでのことです。
採取された羽毛には飼育過程で付いた微生物や汚れ、小さなフェザーなどが たくさん付着しています。
それらを洗浄してキレイに除去することで羽毛のニオイや吹き出しの原因 をなくし、羽毛布団の詰め物となるダウンボールが完成します。
洗浄の水と工場
ヨーロッパから輸入された原毛は、一般的にヨーロッパで洗浄されてきます。
しかし、よりキレイな羽毛にするためには、さらにアジア圏での洗浄が不可欠なものとなります。 なぜなら、ヨーロッパとアジア圏では、水の性質が硬水と軟水とで違うからです。
アジア圏での洗浄は、中国の工場が一般的ですが、高品質なものは台湾の工場が主となります。 さらに、最高品質な羽毛は、国内のキレイな水で洗浄されます。 よりキレイな羽毛にするには、キレイな水で洗うことが重要となります。
羽毛の清浄度
羽毛は洗浄をすることにより、汚れやニオイがとれ衛生的に使用することができます。
洗浄度は500mm、1000mm、2000mmの3つに分かれます。数値が大きいほど、洗浄後の水の透明度が高くなります。
クリーンでキレイなダウンが良いと思われるかもしれませんが、羽毛は動物性の脂を含んで呼吸をします。脂分が除かれるほどの過度な洗浄は、良い羽毛布団を作る材料とは考えにくいです。
飼育環境が行き届き大事に育てられた鳥の毛は、何度も洗浄をしなければならない程、汚れてはいません。
洗浄回数が多いから良い羽毛布団とはならないのです。
第4話 中だけに囚われるな!外も刮目せよ!!
側生地の重要性
詰め物のダウンが良質なものでも、製品のお布団として見た場合使用されている側生地も大変重要です。
ダウンが良質なものでも側生地がダウン相応のものでなければ、そのダウンの良さを最大限に発揮されません。側生地が良くないとせっかくの良質のダウンも宝の持ち腐れになってしまいます。
中のダウンに合った側生地との総合的なバランスで、羽毛布団の良し悪しは決まってきます。
素材
羽毛布団の側生地使われている素材の表記としてよく目にするのが ポリエステルと綿そしてたまにシルクといった感じではないでしょうか?
ここではよく使われている素材ポリエステルと綿の特長を説明します。
エントリーNO.1 ポリエステル
ポリエステルの特長は軽くてやわらかく肌触りの良い生地質が特長ですが、吸湿性や通気性が劣ります。
エントリーNO.2 綿
綿の特長は熱伝導率が良く、吸湿性・通気性に優れているので羽毛布団の特長を発揮しやすい側生地の一つです。
ポリエステル繊維と比べると少し重みはありますが、フィット性に優れています。
生地の織り方
生地には織り方によって特徴が変わってきます。
織り方その1 平織
最もシンプルな織り方で、経糸1本と緯糸1本を交互に交差させて作られています。
糸の太さにもよりますが、やや硬くハリがあり耐久性が高いのが特徴。
代表的な例としてシャツ地でブロード生地があります。
織り方その2 綾織(ツイル織)
織り目が斜めの畝状に見え、丈夫でありながらやわらかくシワになりにくいのが特徴。
チノパンやジャケットなどのアウターによく使われています。
織り方その3 朱子織(サテン織)
肌ざわりが抜群で、しなやかさ、やわらかさに非常に優れており、肌にソフトにフィットします。
光沢あり綺麗なドレープが出しやすいため、パーティで使われるドレスやネクタイなどの高級織物に使われています。
綿糸について
綿花は繊維の長さによって使われる用途や質感が違ってきます。
綿花は大きく3種類に分類され、基本的には繊維が長く細いほど上質な素材となります。
綿花3種類
・短繊維「21mm以下」・・・太くて短い繊維。お布団の中わた等に使われる。
・中繊維「21~28mm」・・・綿製品の大部分が中繊維。Tシャツやタオルといった日常生活のアイテムに多数取り入れられている。
・長繊維「28mm以上」・・・生産量が少ない希少な高級繊維。
綿番手
「綿番手」・・・コットン糸の太さの目安を数値化したものです。
重さと長さで算出し1番手から順に、糸番手の数字が大きくなるにつれ、糸は細くなっていきます。
最終話 最終決戦!勝利をつかみ取れ!!
羽毛布団は品質表示がすべてではない
一般的にグースダウンの方がダックダウンより、ダウンボールが大きい分あたたかいと言われていますが、必ずしもその定義にあてはまるわけではありません。
商品品質のタグなどにはダウン〇〇%やダウンパワー〇〇cm3/gと記載され、〇〇の数値が大きいほど良いものとされています。
しかし残念ながら数値や産地、種類だけで、本当の良し悪しを見極めることはできません。
例えば羽毛布団をお店に見に行ったり、ネットで調べたりしていると、グースダウン90%の羽毛布団はすごく高価な品から安価な品まであったり、ダックダウンの方がグースダウンのお布団より価格が高かったりという事があります。
ダウンだけをとらえてみると、同じ90%の数値のグースダウンでもダウンボールがふわふわのキレイな丸い形のものから、羽枝があまり生えていないスカスカのものもあります。
スカスカのグースダウンとふかふかのダックダウンでは、ダックダウンの羽毛布団の方があたたかくなってしまう事もあります。
羽毛布団はどう選べばいいの?
羽毛布団は価格帯の幅も広いうえに、安価な品から高価な品まで同じ品質表示で表現されているため、選ぶのに大変苦労します。
実物の商品を見にいける環境であるのであれば、実際の店舗に行って自分の目で見て触って、そしてスタッフの話を聞き、「信頼できるな」と思うお店で購入することをおすすめします。